2020年度放送大学大学院 第5問 回答例

2020年度

放送大学大学院文化科学研究科文化科学専攻臨床心理学プログラム 

第5問

 

 

 

 

 

 

 

解答例

 観察法とは、対象の行動を観察することでデータを収集していくことで、人の個々の働きを理解しようとする研究法のことである。大きく分けると特定の場面を設定する実験的観察法と日常的な場面を観察する自然観察法の2種類が存在する。

 観察法の目的は主に、言語的なコミュニケーションが困難な対象のデータを収集することである。観察法以外の面接法や調査法などの手法では、対象者の言語能力に依存してしまう。観察法では、必ずしも文字や言葉を使う必要はない。そのため、乳幼児や認知症、言語的な能力に障害を抱えた人など、言語によるコミュニケーションに困難を持つ人を対象とした研究を行うことができる。また、客観的なデータを得ることもその目的となりうる。日々の行動のデータを収集したくても、対象者自身に問う方法では、本人の主観を影響をうけてしまう。実際の行動を観察することで、正確で客観的なデータを得ることができる。

 一方で、観察法では以下の2つの留意点が存在する。1つ目は大量のデータを一度に集めることが困難であることである。一度に観察できる対象は限られているため、調査法のように多くのデータを集めるためには時間や労力がかかる。2つ目に対象が限定されることが挙げられる。観察法では外から分かるような行動を記録することはできても、対象者の内面などは知ることができない。

 

参考資料

 

今回の過去問は以下のリンクから閲覧可能です(2022年現在)。

過去問題一覧 | 大学院 修士課程について | 放送大学 (ouj.ac.jp)

 

*このブログでは心理系大学院(公認心理師臨床心理士カリキュラムに対応した大学院)の過去問の回答例を挙げています。回答は独自に作成したものであり、正答を保障するものではありません。試験対策の参考にお使いください。